お客様の声

(有)田村製作所 様

プレス金型において緩み止め座金を使用した際の検証

有限会社田村製作所 専務 田村直樹さま

加工条件
金型方式 コンパウンド金型
加工素材 SUS304 板厚5mm
加工機械 サーボプレス 150t
使用ボルト M8キャップボルト

背景

プレス加工においてSUS304等の難加工材を打ち抜く際、打ち抜きのブレイクスルーの衝撃により穴あけパンチを固定しているキャップボルトに緩みが発生し、増し締めを行う必要性があり加工効率が低下していた。

これまでは…

金型の使用開始当初は全体的に金型のすり合わせがよく特に問題なく加工が出来たがそれでも3000個から4000個のメンテサイクルの際には若干ボルトの緩みが発生し、増し締めを行っていた。その後、使用金型の加工数量が増えるにつれ徐々に金型のボルトに緩みなどの問題が発生し、加工中に増し締めを行うなど、加工を維持するための作業が増え効率が悪化した。対策としてスプリングワッシャーを使用することも検討したが、以前あまりいい結果が得られなかった為に今回はロックタイトを点付けし緩み止めを行った。ロックタイトを使用する前は最終的には100~200個加工を行うとキャッ プボルトが緩んでいたが使用した後は400個弱加工できたもののキャップボルトが破断してしまった為、効果的とは言えず金型のフルメンテナンスを検討する状態になった。

ActiveXに替えたところ…

穴あけパンチを固定しているキャップボルト2本にActiveX座金を使用した。使用にあたり従来のキャップボルト用のザグリでは座金が使用できない為、ザグリ穴の修正を行った。使用の結果2500個程度加工した時点で穴あけパンチ自体が破損してしまった為、それ以上のデータは取ることはできなかったが、最も緩みやすかった丸パンチは全く緩まず、金型を整備する際しっかりしまっていた。
このことから、最も緩みやすかった状態から5~10倍、金型が新品の状態と比較しても2倍程度の緩み防止効果があったと思われる。今回は2500程度で金型が破損してしまった為、最大でどの程度加工できたか検証できなかったが、該当金型のメンテサイクルが3500~4000個である為、定期メンテナンスまではノントラブルで生産を行えると思われる。

その後…

5月中に弊社内に残っていた在庫の素材を使用し785個加工。
その後、状況確認のため増し締めを行ったが緩み、ボルトの破損等無し。
7月25日より3285個の加工を行った。前回加工より金型のメンテナンスは行わず、2150個程度まで加工。
この際、ボルトの緩みによりパンチが抜け始めたので増し締めを行ったが、続いて20個程度の加工でキャップボルトが破断してしまった。
増し締めを行った2150個の時点ですでにキャップボルトには致命的な破損が起こっていたと思われる。
その後、キャップボルトを交換し1130個程度加工し材料が終了した為、加工を終了した。

考察

前々回の加工(2500程度)と前回加工と(785個)今回のボルトが破損するまでの加工(2150個)をすべて累積すると
約5400個はボルトが緩まず加工できたことになる。
その間、金型の対象部分のメンテナンスを行わずに進めた結果、刃先が切れなくなり製品の抜き抵抗、あるいはパンチから製品をストリッブする抵抗が大きくなったためにキャップボルトが破断したと推測できる。
今回はテストのためにメンテナンスサイクルを通常より長くしていたが、3000~4000の通常サイクルでメンテナンスを行っていれば
ボルトの緩み整備による効率低下は回避できると思われる。

座金の状態

今回、一連の加工で総数6500個程度加工したが、使用した座金には歪みや破損もなく、まだ十分に使用が可能であると思われる。
今回のテストを行った金型は弊社でも加工の難易度が高く、金型にかかる負荷が極めて高い。加工時に発生するブレイクスルー時の衝撃に加え、SUS304の板厚5mmの精密打ち抜きであるため、パンチに製品が食いつきパンチやねじ部分に非常に大きなストレスがかかる。
通常であればカサつきの厚板用高剛性パンチを使用するところではあるが、パンチから製品をストリップする際の抵抗が大きくパンチが頻繁に破損する可能性が極めて高く改修コストが増加するため、ボルトの交換によって改修コストを低減している。
金型開発当初、ボルトの劣化はある程度覚悟していたが、衝撃により計算以上に緩みが発生し、増し締め作業の負荷が大きかったが、当緩み止め座金を使用することで大幅な改善がみられた。

更にその後…

現在の蓄積データ
前回(平成23年7月25日)の加工後、1回の量産加工を行った。
条件は前回加工が軽度のメンテナンス。その際、ボルトの緩みを確認したが問題なし。
加工数量は3313個。通常行うメンテサイクルまで問題なく加工。⇒この間も緩み等は一切なし。
緩み止め座金を使用してから、前回までで5400個、今回の加工が約3300個。この間はボルトが緩まず加工できたことになる。
途中ボルトが破断するトラブルが前回加工時にあったが、今回は特に問題なくノントラブルで加工が終了した。

座金の状態

金型の状態は前回と特に変わらず、精密に組み付けた金型のパンチを押える穴等が経年劣化により緩くなっていた為に、ボルトが緩んでしまっていたが、緩み止め座金を使用したことで格段にボルトの緩みは改善された。
当初、あまりにも緩みが発生した為、金型の大幅な改修が必要かと思われたが、現在のところ緩みが発生していない為、改修は必要ないとの見解である。